海龍の

映画 『Men of Honor ザ・ダイバー』

徹底分解

 

Navy & Marine Corps Medal 

 

 

Navy& Marine Corps Medalが この映画の中では非常に象徴的な使われ方をしています。

左の写真はカールが現役復帰審議会に出席する身支度をしている際に流れる象徴的なシーンです。

さてこの Navy & Marine Corps Medal なのですが海軍のメダルの中では、非戦闘時に貰えるメダルとしては海軍では2番目に高い格のメダルだと別の項で書きました。 それは嘘ではないのですが 実はその上の格である Navy Distinguished Service Medal と言うのは非常に稀にしか与えられないものである上、受賞対象者は大きな部隊を指揮するような司令官クラスが対象となるため、下士官である物にとっては、非戦闘時 に受賞可能な実質的には最高位のメダルとなります。

ちなみに 海軍最高位のメダルである Navy Cross は戦闘時の行為に対して与えられるものです。 (有名な軍人としては 第2時世界大戦中に空母機動部隊を指揮してブルの異名をとったハルゼー提督が受賞しています) 

なお4軍の軍人にとって最高位のメダルは Medal of Honor (議会名誉章)で米軍の長い歴史の中でもそれほど多数の受賞者はいません。 なんせ 受賞者は階級の上下に係わらず、先に敬礼を受ける名誉(受賞者が下士官だとすると司令官クラスの提督がその下士官に対して先に敬礼をするということ)が与えられるのだそうです。

 

さて話は Navy & Marine Corps Medal に戻りますが、これは近年 特に自己の生命に係わるような状態下での人命救助にたいして与えられることが多いようです。 もともと人命救助にたいるす章というのはあったようですが、自己の犠牲を省みない英雄行為がポイントとなります。 ですから 通常の救難活動ではこの受賞の対象にはならないわけです。

 

さて この映画ででてくるのは下記の3つの場面です。

Master Chief

Billy Sunday

Machinist's Mate 1st Class

Dylan Rourke

Senior Chief

Carl Brashesr

 

①    

Billy Sunday の場合

航空機遭難事故の救助作業中に 自身の作業を追え浮上してきた Sunday が、その直後に交代で潜降プロセス中に起きた同僚潜水士の落下事故に際して、潜水担当士官の制止をふりきりバウンド潜水でこの救助にあたる。 結果 Sunday は空気血栓症(?)の影響で2度と深い潜水を行えない体となってしまう。

上官の命令無視は注意ですみ、Navy & Marine Corps Medal を受賞するものの 潜水士としての現役継続は不可能となり潜水学校の教官へ転属となる。

Dylan Rouke の場合

泣きそうな顔で受賞するRouke

潜水学校での沈船内作業実習時に沈船がぐらつきバディであるアイサートのエア・ホースが船体に絡まる事故が発生。 沈船は非常に不安定な状態となりアイサートはパニック状態となる。

水面待機中であったカールが志願して救助に来て共同して救出作業を行うが、あまりにも沈船が不安定なので救出作業中のカールとバディのアイサートを現場に取り残して一人で水面に逃げ帰る。

実際の救出作業は全てカールが行ったのではあるが、黒人潜水士を認めたくない学校長の工作で公式には Rouke が救出したこととなり 本来であれは カールに与えられてしかるべき Navy & Marine Corps Medal を与えられることになる。 しかしながら 他の訓練生・教官は全ての事実を目撃しており 事故現場からの逃亡という卑怯な行為(不名誉な行為)をしでかしたという自覚もある Rouke はものすごく自責の念にかられるのであった。

Carl Brashear の場合

墜落した空軍機に搭載されていた水爆の探索・回収作戦時に 船上で回収作業を見守っていたカールの目前で牽引ロープが切断するという事故が発生。 飛び跳ねるスティール・ワイヤーの方向にいた同僚を救おうとして自身の左足を負傷する。 結果的には左膝下からの切断となり、現役引退を迫られることになる。

3者3様ではありますが、3者ともそれなりの代償を支払った形となっています。

特に②の Rouke のケースがとても印象的です。不名誉な逃亡行為をしているのに それを知っている全員の前で名誉あるメダルを受賞されるのはものすごく辛かったはずです。

これまでアンチ・カール(黒人蔑視)の急先鋒であった彼がここから少しずつ変ります。卒業試験の際には最後まで残り、自らカールの補助をかってでるまでになります。

Navy & Marine Corps Medal はこの映画の中では HONOR (名誉) の一つの象徴的なものとして描かれているといえるのではないでしょうか。

 

 

 

☆  目 次   ☆

 

 

 はじめに・・・一言

 

 映像で確認する階級等の推移 カール編

 映像で確認する階級等の推移 サンデー編

 

 前半の見せ場 − 潜水学校

 映画最大の見せ場 − 現役復帰審議会

 

 Navy & Marine Corps Medal

 ヘルメット式潜水器材

 映画中の Navy Diver 写真集

 

 チーフ・サンデー 特集

 その他の脇役達の検証

 

 本物の カール 及び実際の写真集

 撮影現場 スナップ

 

 

 

 

 

 

  【 参 考 】

 

 米海軍 下士官・水兵の階級章

 Mr. Carl Brashear の実際の略歴

 

 

  【 外部 参考リンク 】

 

 ザ・ダイバー 映画公式サイト

 The Carl Brashear Foundation

 Diving Heritage -"Hall of fame" Carl Maxie Brashear

 Men of Honor - Wiki (英語)

 もぐりのドクターの潜水医学入門 独り言 − ザ・ダイバー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

07/26/2009

 

 

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